ベネズエラの状況を巡って、内外のメディアに奇妙な数字が飛び交っています。一つは、7月16日に反政府派が実施した「市民投票」で、もう一つは7月30日に実施された制憲議会議員選挙投票です。政府側、反政府側の双方の発表の数字は、全く違っており、ほとんど報道されるのは、反政府側の発表による数字です。それらを見れば、マドゥーロ政権は、まったく国民に支持されておらず、反政府デモの激しさもあり、政権の行方は風前の灯のように思われます。

勝者・敗者の数字がまるっきり違うことは、ラテンアメリカ・カリブ海地域の選挙ではよくあることで、少なくありません。特にベネズエラは、政治勢力がはっきりと二極化していますので、余計にその傾向があります。では、この2つの投票の内容はどうだったのでしょうか。実態を知るには、政治的な期待や、思い込みを排して、できるだけ双方の発表を吟味し、過去の選挙状況、投票の方法、発表された多くの投票所のビデオ、写真を分析し、それらを自分で、矛盾なくできるだけ客観的に再構成する必要があります。

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（文：2017年8月11日　新藤通弘）