地理
Geography

ベネズエラの地図

ベネズエラは熱帯気候の国で、南北回帰線の間に位置する他の熱帯の国々と共通する地理的特徴を有しています。大陸・島嶼合わせた領土では熱帯の各種気候的特徴が見られ、太陽エネルギーや温暖湿潤な環境下での豊かで多様な植生など、自然の力に恵まれています。27種の気候区分、12種の植生、23種の地形、大きく38種の地質グループと、その地理的特徴は多様です。

地理別の地方区分

ベネズエラは地理的に首都部、中央部、中央西部、アンデス地方、スリアナ地方、平原部、北東部、グアヤナ地方、島嶼部に区分されています。

首都部

北はカリブ海、南は中央部及び平原部、東は北東部、西は中央部に面する地域のことです。行政区では、首都特別区、ミランダ州、バルガス州に相当します。この地方のカラカス市には、世界文化遺産に登録されているベネズエラ中央大学があります。また、ミランダ州グアティレ市及びグアレナス市では無形文化遺産に登録されている聖ペドロの祭りが行われます。

中央部

北はカリブ海と中央部、南は平原部とアンデス地方、東は平原部と首都部、西は中央西部に面する地域です。行政区では、アラグア州、カラボボ州、コヘデス州に相当します。

特徴:この地方には海岸山脈が走っており、アラグア州とカラボボ州の間に渓谷を形成しています。沿岸側は最も高い所で標高2,400m、内陸側は標高1,900mにもなります。一方、コヘデス州に入ると山岳部も高さはありません。大半は平野または平原で、山はガレーラ(galeras, ガレー船の意)と呼ばれる低い山の連なりか、バウル(baúl, トランクの意)と呼ばれる丘陵の形状になります。

気候は各地点の高度により様々です。例えば、アラグア州沿岸部のコロニア・トバール市などでは年間平均気温が17℃で植生は主に森林ですが、内陸部のサン・カルロス市などでは、年間平均気温28℃で主に草原となります。

この地方の最も重要な水路はバレンシア湖とその周辺の河川です。パオ川流域は中央部の上水道として利用されています。一部の河川はカリブ海に注ぎます。

平原部

北は首都部と中央部、南はギアナ高地とコロンビア共和国、東は北東部、西はアンデス地方と中央西部に面しています。行政区ではグアリコ州とアプレ州に相当する地域です。げっ歯類最大の種であるカピバラが見られます。

この地方は全て平野で、高原、南部平原、下原の3つに分かれ、パオ丘陵(Galeras del Pao、コヘデス州)との境まで広がります。植生は落葉樹林で雨季と乾季にはっきりと分かれ、それぞれ約6ヶ月ずつ続きます。広く河谷林(ガレリア林)が分布します。

中央西部

北はカリブ海、南はアンデス地方、東は中央部、西はアンデス地方とスリアナ地方に面しています。行政区では、ララ州、ファルコン州、ヤラクイ州、ポルトゥゲサ州に相当します。ファルコン州には、世界文化遺産に登録されているコロ市街とその港があります。

地形は州により変化に富み、コロ市やプント・フィホ市のある平野から、ニルグア高地のような山岳、カロラ市からバルキシメト市にかけての低地まであります。

この地方にはアロア川、ヤラクイ川という2つの重要な河川が流れていますが、降雨が散発的なため、時期によって流水がなくなる川も多く存在します。

気候は各州の地形や降雨量により異なり、植生も様々なものが見られます。

スリアナ地方

北はカリブ海、南はアンデス地方、東は中央西部、西はコロンビア共和国に面しています。行政区ではスリア州に相当します。

ペリハ山脈とアンデス北端の2つの山脈に囲まれたマラカイボ湖周辺の地域で、低地と湖岸地帯から構成されます。マラカイボ湖ではギネスワールドレコードに登録されている「カタトゥンボの稲妻」が見られます。

気候は州内でも地形・起伏によって多様ですが、おしなべて熱帯雨林気候です。

この地方の河川には年間を通じて流水はあるものの、雨季と乾季に分かれるため時期により水量に差があります。最も大きな河川はカタトゥンボ川で、他にもネグロ川、サンタ・アナ川、エスカランテ川など多くの河川が存在します。

アンデス地方

北は中央西部・スリアナ地方・中央部、南はコロンビア共和国、東は平原部・中央西部、西はスリアナ地方とコロンビア共和国に面しています。行政区ではタチラ州、メリダ州、トゥルヒージョ州、バリナス州、アプレ州のパエス市に相当します。メリダ州には、世界一の高所にある「ムクンバリロープウェイ」があります。

タチラ州の低地からララ州の低地までをアンデス山脈が走っています。この地方はベネズエラ随一の高地で、ベネズエラ一標高の高い山ピコ・ボリバル(5,007m)があります。

主要な河川として、モタタン川、チャマ川、サント・ドミンゴ川、ウリバンテ川、ボコノ川などがあります。源流が高地にあるため、流れが速いことが特徴です。

北東部

北はカリブ海、南と東はグアヤナ地方、西は平原部と首都部に面しています。

行政区ではアンソアテギ州、スクレ州、モナガス州に相当します。

この地域には、海岸山脈の東部が位置し、山脈には標高2,500mのトゥリミキレ山があります。また、ウナレ低地やアンソアテギ州及びモナガス州南部の平原地帯もこの地域に含まれます。

気候は各地の高度や条件によって異なりますが、平均気温は32℃で、植生としては河谷林(ガレリア林)や湿地に群生するミリチーヤシが多く見られます。

この地域の河川はオリノコ川流域を流れています。オリノコ川は、豊かな水量と流れの速さから水力発電に利用されており、またその流域は世界一の石油埋蔵量を有することから、ベネズエラにとって大変重要な河川です。

グアヤナ地方

北は平原部と北東部、南はブラジル、東は大西洋、西は平原部とコロンビア共和国に面しています。行政区ではボリバル州、アマソナス州、デルタ・アマクロ州に相当します。

地形は、準平原、テプイ(テーブルマウンテン)、平野、平原が代表的です。約6億年前、前カンブリア紀にできたベネズエラ最古の地形が見られる地域です。

常に湿度が高く、気温は36℃程にもなります。植生としては河谷林(ガレリア林)やミリチーヤシの林のほか、サバンナや熱帯多雨林も見られます。

河川はオリノコ川が最も主要で、これにカロニ川、カウラ川、パラグア川などが続きます。オリノコ川にはピンク色のアマゾンカワイルカが生息しています。また、この地方には世界自然遺産に登録されているカナイマ国立公園があり、国立公園内には世界で最も高い所から落ちる滝、ケレパクパイ・ベナ(ペモン語で「最も深い地にある滝」の意)があります。現在ではエンジェル・フォール(エンジェルの滝)の名で知られています。

島嶼部

行政区では、マルガリータ島・コチェ島・クバグア島から成るヌエバ・エスパルタ州に相当します。この他に、ロス・モンヘス諸島、ラ・トルトゥーガ島、ロス・フライレス諸島、ソラ島、ロス・テスティーゴス諸島、ラス・アベス諸島、ロス・ロケス諸島、オルチーラ島、ブランキージャ島、ロス・エルマノス島、パトス島など多くの島々からなる連邦直轄領もこの島嶼部に含まれます。いずれも平地で、海抜も100mを越えることはありません。

気温は平均35℃で、恒常的に湿度が高く、北部から吹く貿易風の影響で頻繁に降雨があります。総体的に耐乾性の植生です。

河川としては雨季にだけ現れる川があります。チャグアラマル川、ムコ川、バジェ川などが代表的な河川です。

ベネズエラ大使館公式SNS

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