社会開発
Social Development

ベネズエラにおいて、社会開発の取り組みは主に貧困撲滅を目指す手段となってきました。ウゴ・チャベス前大統領時代に始まり、ニコラス・マドゥーロ現大統領のもとでも引き続き実施されています。より平等、参加型かつ包括的な社会を作り人材の力を高めることによって、生活の質を向上しようとするものです。

この取り組みは「ミシオン」と呼ばれる低所得者向け社会開発プロジェクトで、2003年に政府の出資により始まりました。教育、健康、食糧、職業訓練、住宅など生活の基本となる分野で困難に直面する人たちの緊急的な要請に対処することを第一義的な目標としています。ミシオンを通じて、医療関係者、教育関係者、その他社会的な職に従事する人が貧しいコミュニティーにも行き渡るようになり、重要かつ基本的な福祉サービスが無料で提供されてきました。

ミシオンの有効性は証明されており、国民の高い支持を得ています。貧困率の低減、識字率の向上、貧困層の住宅ローンへのアクセス向上、ジェンダー・人種問題の解決、地域コミュニティーの自立支援などのための総合的な解決策を提供するとともに、国民の中にコミュニティーの一員としての社会的意識を芽生えさせました。

様々な種類のミシオンが実行されており、いずれも貧困率減少の鍵となっています。主要なものを以下に列挙します。

ミシオン・ロビンソン(識字率向上プログラム)、グラン・ミシオン・ビビエンダ(住宅建設計画)、ミシオン・バリオ・アデントロ(「居住区に入ろう」計画/無料診療プログラム)、ミシオン・ミラグロ(「奇跡」計画/眼科治療プログラム)、ミシオン・メルカル(低価格での食料品提供プログラム)、ミシオン・ブエルバン・カラス(「向き直れ」計画/失業者・インフォーマルセクターの労働者などへの訓練プログラム)

例として、政府が実施・達成した主な前進・成果は次のとおりです。

1)貧困の削減国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)の2013年報告書によると、ベネズエラは2012年までに貧困率を最も大きく低下させた国とされています。ベネズエラ国家統計局(INE)によると、1998年に28.9%だった貧困率は2013年には19.6%にまで減少し、さらに「極度の貧困」状態にある家庭は10.8%(1998年)から5.5%(2013年)にまで減少しました。

2)社会支出の増加:社会開発プロジェクトへの政府の投資は、1999年以降、その直前10年間と比較して増大しました。1999年から2013年にかけて64.1%増加し、その額は62万3508米ドルに相当します。

3)不平等さの是正:ベネズエラは、ラテンアメリカの中でも特に不平等さと闘ってきた国です。所得格差を測るジニ係数は、1998年に0.486だったものの、2013年にはラテンアメリカで最も低い、つまり格差の少ない0.398にまで低下しました(出典:国家統計局)。これは貧困層への所得分配を強化・改善したことにより得られた成果です。

4)学校・大学への入学率向上、非識字の根絶:2013年のベネズエラの純初等教育就学率は95.90%でした。ボリバル主義革命により、就学率(就学前教育・初等教育・中等教育)は29%上昇しました。無償かつ質の高い教育が保証されています。

2012年から2013年、ベネズエラの学校制度内で学ぶ生徒数は787万8538名となりました。これは教育への公共投資により実現したものです。教育への投資額は1億1155万2638ボリバルに上り、1999年の298万2085ボリバルから大幅な上昇を見せています。

一方、大学進学者数は262万9312名を記録。ラテンアメリカで2番目、世界でも5番目の数となっています。

非識字の根絶については、ベネズエラは2005年に「私はできる(Yo Sí Puedo)」計画を実施し、150万名以上の国民に識字教育を行いました。これにより、ユネスコから「非識字のない地域」との宣言を受けたラテンアメリカで2番目の国となりました。

5)栄養失調の減少:5歳未満の子どもの栄養失調は、1990年には7.70%存在したものの2013年には2.53%にまで低下しました。幼児の栄養失調率ではラテンアメリカ諸国で5番目に低く、国連食糧農業機関(FAO)から評価されています。

6)医療サービス:ミシオン・バリオ・アデントロI・II・III(「居住区に入ろう」計画/無料診療プログラム)により、大衆層の居住エリアの各診療所で2014年までに6億1787万1821回の診療を行い、175万人の命を救いました。一方、ミシオン・ミラグロ(「奇跡」計画/眼科治療プログラム)により1852万9964回の眼科診療を行い、192万1912名の患者に眼科手術を施しました(2013年)。ミシオン・ソンリサ(「微笑み」計画/歯科治療プログラム)では20の歯科治療センターを開設し、55万3728名以上を診察しました。

7)失業率の低下:失業率は、1999年には15.2%でしたが2014年4月には7.1%に低下。近年では安定した数値を保っています。

8)公式経済の拡大と非公式経済の縮小:公式部門(フォーマルセクター)に従事する労働者は、1999年2月時点の52.38%から2014年4月に59.3%まで上昇しました。一方、非公式部門(インフォーマルセクター)の労働者は、同じ期間に55.0%から40.7%に減少しました。この期間中、労働市場における労働者数は412万7433名増加しました。

9)人間開発指数の上昇:ベネズエラ国家統計局のデータによると、ベネズエラの人間開発指数(HDI)(※)は0.771に達し、ラテンアメリカ・カリブ地域の平均値を上回るとともに「HDI高位国」と位置づけられています。これは1999年施行の新憲法において、権利の普遍性や実質的平等といった人権に関わる概念を世界に先駆けて導入し保証したことによる効果の表れです。

※ 保健・教育・所得の3分野から測った指数で、1に近いほど人間開発が進んでいるとされる。

ベネズエラ大使館公式SNS

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