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広島に寄せて―大使夫人メッセージ

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ここはどこ?
3000度の地面に、屍の影が記憶される。真っ暗な宇宙の中ひときわ輝く青い星で、何が起こったのだろう。

赤ん坊を抱く母親、三輪車に乗った子ども、恋する男女は、戦争が終わる少し前、骨さえ残さないまま瞬時に消えた。

世の終わり?いいえ。命を取り留めた人々は地獄を這い、死体に囲まれながら生き続けなければならなかった。
母親を探さなければならなかった。夫を見つけなければならなかった。やけどを負った身体を引きずって、魂だけでも探そうと街を漂った。思考を麻痺させなければ発狂してしまう程の現実が、ここにあった。爆弾は、人間の皮膚を剥がし、壮絶な痛みの中に喪失、絶望、空虚を残した。

人類が初めて経験した原子爆弾は、開発者さえも深い憂慮に陥らせるほどの威力を持った。権力は、それでも満足しなかった。もっと殺せる、もっと苦しませる、もっと怯えさせる兵器を欲しがった。
あと一つ私の手に、あの人が持ったら私はもっと持たなくては!と―。15000発で足りますか?人間は全人類を破壊し尽くしても足りないほどの核爆弾を手にした。こんな馬鹿げた話を子どもにどう説明すればいいのだろう。

「悪夢はいつだって遠いあなたにプレゼントできる」権力者たちは、この不気味なボタンを肌身離さず旅をする。この小さな星で、今にも溺れそうな人類は、互いに脅し合い、恐怖を盾にさらなる恐怖を持ちたがる。地球に生まれた多種多様な生き物は、あざ笑うだろう。生きるということが、どれ程大変で、どれ程他の命に頼らざるを得なくて、どれ程美しいかを体験できるのは、一回だけなのに。ただ命を走り抜けながら人間は何を求めていくのだろう。

人類の歴史より長い寿命を持ったパンドラの箱が私たちの目の前に現れた。さて、あなたはこの箱を次の生き物たちに引き継ぎたいと思うだろうか?私たちには責任がある。人類の英知は、この簡単すぎる問いに応じなければならない。どんな生き物よりも発達したはずの脳を使って、歌い続け、働き続け、今動き出さなければいけない。

今日も広島の澄み切った空の上から声が聞こえる。
NO MORE HIROSHIMA, NO MORE NAGASAKI.

2016年8月6日
コロンえりか

ベネズエラ大使館公式SNS

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