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2016/11/02

ベネズエラで何が起きているか

ベネズエラで何が起きているか
1.2015年12月の総選挙において、右派反政府勢力が国会で過半数の議席を獲得した。その背景には、ベネズエラの革命的モデルを継続的かつ激しく攻撃し、国民に対する経済的...

ベネズエラで何が起きているか

ベネズエラで何が起きているか

1.2015年12月の総選挙において、右派反政府勢力が国会で過半数の議席を獲得した。その背景には、ベネズエラの革命的モデルを継続的かつ激しく攻撃し、国民に対する経済的サボタージュを実行して食糧不足を伴う危機的経済状況を作り出し、治安・経済問題・暴力に関する風評を流布するなどして国民に相対する経済的・財政的・心理的キャンペーンを行ってきたことなどがある。

2.これ以降、右派勢力の主たる目的は、ニコラス・マドゥーロ大統領を打倒することである。

3.上述の目的のために右派は4ヶ月を費やして大統領を打倒する方法を討議し、少なくとも次の内容を検討した。

a. 大統領の辞職を要求
b. 弾劾
c. 大統領の精神障害を宣言
d. 大統領がコロンビア国籍を持つとの申し立てを根拠に選挙を無効とする
e. 大統領の在任期間を短縮するための法改正又は憲法改正
f. 憲法改正議会
g. 街頭からの社会的圧力
h. 罷免国民投票

4.4月末、右派勢力は罷免国民投票の実施を請求するプロセスを発動することを決定した。憲法によると、大統領の任期の半分が経過した場合に罷免国民投票の開催を請求できるが、右派勢力は任期の半分が過ぎる2016年1月ではなく、同年4月にこのメカニズムを発動したために、2016年中に罷免国民投票を実施する時間が足りなくなった。法令で定められた手続き期間は、最短で260日だからである。

仮に国民投票が2017年に行われ、右派反政府勢力が過半数の賛成票を獲得して大統領が罷免された場合、罷免される大統領に代わり、第一副大統領がその残りの任期を務めることとなる。つまり、2019年までの大統領の任期を全うするのは、現政権と同様チャベス派だということである。

5.ここ数ヶ月、国会は、国会の反憲法的行為を無効とする最高裁判所の判断に逆らうことを決定した。国会によるこの侮辱行為に対し、最高裁判所は、国会が法令に従い憲法を尊重するまで、その全ての行為を無効とすると決定した。

6.それにもかかわらず、マドゥーロ大統領は常に、国民的対話に参加してあらゆる紛争を政治的かつ平和的に解決するよう、反政府勢力に呼びかけてきた。大統領はまた、南米諸国連合(UNASUR)に対し、サパテロ元スペイン首相、トリホス元パナマ大統領、フェルナンデス元ドミニカ共和国大統領の参加を通じて仲介役の労を執るよう依頼した。

対して右派は、前提条件としてバチカンの参加を提示し、マドゥーロ大統領は直ちにこれを受け入れた。こうした対話の試みは、右派反政府勢力の内部的矛盾により現在のところ全て失敗となっている。

7.国民投票の実施に向けては、まず国民投票を推進する政治組織を法的に発足するために、有権者登録されている人のうち1%分の署名を集めなければならない。このステップが完了すると、次に有権者登録されている人のうち20%分の署名を集める必要がある。これは憲法が定める内容である。

8.有権者の1%を満たすのに必要だった署名数は19万5千筆のみであったのに対し、右派はベネズエラ選挙管理委員会に当たる全国選挙評議会(CNE)に195万7,779筆もの署名を提出した。提出された署名は、右派及び革命派(政府派)双方の代表者参加のもと検査され、このうち60万5,727筆が不正なものだったことが判明した。内訳は次のとおり。

   ・10,995筆:死亡した有権者
   ・53,658筆:有権者登録に名前のない人
   ・3,008筆:18歳未満
   ・1,335筆:重大な犯罪(殺人、薬物の違法取引、強盗、詐欺、性的暴行)により資格を剥奪された者

 さらに、
・全国全ての州で、身分証明書の窃盗の申し立てが9,000件超

9.CNEがこうした不正を発見したにもかかわらず、右派勢力が設けた署名検査委員会により、署名は受理とされた。そして今後も不正な署名が提出されることが見込まれる状況のまま、当該委員会は10月26日、27日及び28日に20%分の署名集めの段階に進むことに同意した。

10.10月20日(木)、ベネズエラ国内7州の裁判所は、大規模な身分証明書の窃盗が市民から申し立てられていることに基づき、1%分の署名集めの結果発生した全手続きの中断をCNEに求める予防策を発表した。

これに基づき、CNEは20%分の署名集めを中断した。

11.右派は、マドゥーロ政権がクーデターを実行しているとして非難したが、一方で1%の署名集めにおいて不正を指揮した自らの責任は回避した。

12.10月23日(日)、国会は臨時の会議を開き、公然と自らを「反乱勢力」だと宣言した上で、次のような事項を決議した。
 ・ニコラス・マドゥーロ大統領がクーデターを実行し、憲法による統治を妨げたと宣言すること
 ・あらゆる国際機関による対ベネズエラ制裁を求めること
 ・国際刑事裁判所に対し、CNE当局及び裁判官が罷免の手続きを停止したと通知すること
 ・CNE当局及び最高裁判所判事を罷免すること
 ・マドゥーロ大統領に対し主張されている二重国籍について決議し、大統領を罷免すること
 ・マドゥーロ大統領の任務放棄について決議し、大統領を罷免すること

考慮すべき事項

誰が、誰に対してクーデターを起こしたのか。

なぜ、1%の署名集めで不正を犯したのが右派であるにもかかわらず、政府がその責任を負うこととなるのか。

右派は、罷免投票手続きの停止や人道危機があるとの主張を口実に大規模な外国の干渉を正当化しようとしているのか。

露骨に法を蔑ろにしている国会が、その一方で憲法に従い国民の主権に反する不正行為から国全体を守ると約束しているからと言って、選挙当局や最高裁判所判事を罷免しても良いのか。

国会が、あらゆる当局及びその他の公的権力による決定を無視し、その上憲法に反する手段で政府を転覆しようとしている場合、それをクーデターの試みと言うのではないのか。

大統領が首脳として自らの職務を十分に果たしていることが周知のことであるのに、職務放棄を理由として大統領の免職を試みている場合、それをクーデターの試みと言うのではないのか。国会が開かれている間、大統領はOPEC加盟国・非加盟国を歴訪し、ベネズエラ経済の基盤である国際的な石油価格の安定化のために合意を結んでいるのである。

市井の国民は、自分たちの憲法、自分たちの革命、そして法に則って選出された自分たちの大統領を守るだろう。

国家政治ブロック調査チーム

カラカス、2016年10月23日(日)

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