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2018/09/05

ジャーナリズム:加担者たる沈黙

ジャーナリズム:加担者たる沈黙
マヌエル・カビエセス(ジャーナリスト)
 

ジャーナリズム:加担者たる沈黙

ジャーナリズム:加担者たる沈黙

マヌエル・カビエセス(ジャーナリスト)

 

ラテンアメリカの報道の悲しい現実を知らない人は、カラカスで起きたテロ事件(訳注:8月4日に発生したマドゥーロ大統領へのドローンによる攻撃事件)に関するメディアの沈黙に驚くに違いない。CNN英語版は8月7日、マドゥーロ大統領が事件の映像、電話の音声、写真、自白、逮捕者・逃亡者名を演説で発表し始めた時、放送を打ち切った。CNNはこのようにして、この大陸のメディアが従っている行動規範を示したことになる。常々ベネズエラ批判に紙面を浪費しているチリのEl Mercurio紙は、あるコラムのほんの1段落をこのニュースに割いた。メディアが未だ攻撃の「疑いがある」と報じるこの事件について、彼らは昨日まで証拠を要求していたのに、マドゥーロ氏の証拠提示を無視したのだ。しかし、ベネズエラ検察庁が進める捜査によって、自らを尊ぶジャーナリズムの「メインディッシュ」向けの要素が見つかりつつある。これは文学や映画にとってさえ、食欲をそそるアペリティフだ。それなのに、ジャーナリズムという職業にとって恥となる沈黙に陥ってしまった。

 

逮捕され裁判に臨むテロリストらは、各国政府、政党、あらゆる社会的地位の共謀者らと関わっている。当局はオスマン・デルガド・タボスキーの引渡しを北米政府に求めた。彼は事件の出資者であり、軍隊が要塞の破壊に使うプラスチック爆弾C4を積んだドローンの―マイアミからの―「パイロット」だ。さらに、コロンビアに逃れている共犯者らの引渡しに向けた交渉も始まっている。コロンビアでは、ノーベル平和賞(原文ママ!)を受賞したサントス前大統領の協力のもと、攻撃の準備が行われた。

 

事件の先例と言えば、ベネズエラでは1960年6月、当時のロムロ・ベタンクール大統領に起きた車爆弾のテロ事件のみが挙げられる。ドミニカ共和国の独裁者ラファエル・レオニダス・トルヒージョの手先が実行したものだ。この攻撃において、ベタンクール大統領は手と顔にひどいやけどを負い、大統領警護のトップが死亡した。

 

今回は、ベネズエラの大統領の殺害が試みられただけではない。大統領の演壇に同席していた文民・軍人の全当局者、大使、駐在武官、国家警備隊員の家族、さらに軍事パレードの見物人らも殺されるところだったのだ。もし成功していたら、その社会的・政治的衝撃は想像を絶するものだっただろう。

 

ベネズエラ政府が提示した証拠に対するラテンアメリカメディアの沈黙は、ガルシア・マルケスが「世界で最良の職業」と形容した仕事に対する恥である。しかしながら、その責任はジャーナリストではなく、ジャーナリズムの崇高な性質を売り飛ばしてしまった者―つまり「報道機関の主」たちにある。情報「産業」の事業主らは、メディアを、ラテンアメリカの各国民が苛まれる誤情報や無知を生む道具に変えてしまった。ジャーナリズムの社会的役割は、影からメディアを操る者たちの利益に取って替わられてしまった。このようなメディア独裁は金融コングロマリットの思想上の兵器である。都合よく良心を作り上げ、その良心を資本主義の覇権主義的な考え方に従わせる役割を担う。ジャーナリストというのは結局のところ、私有財産の鉄則が働く企業のサラリーマンなのだ。

 

「報道機関の主」らは、政治家や政府に恐れられ、崇められる。これらを組織する米州新聞協会(IAPA)は冷戦中に設立された。紙媒体で4,300万部を発行する1,300の刊行物をまとめ、数多の電子メディアを管理する組織である。その共通点は反共産主義で、北米の諜報機関と緊密に連携している。

 

ラテンアメリカで最も流通している11紙はアメリカ新聞グループ(GDA)として連携してもいる。加盟しているのは、チリのEl Mercurio紙(実際は24紙がまとまった一系列)、ブラジルのO Globo紙、アルゼンチンのLa Nación紙、メキシコのEl Universal紙、ベネズエラのEl Nacional紙など。これらは雑誌、テレビ、ラジオ、電子新聞等、複数の媒体を持っている。チャベス大統領の政権時、GDAはボリバル主義革命の中傷に毎日1ページを充てることを決めた。こうしてGDAは、ワシントンが20年ほども前から行っていたベネズエラ政府の不安定化キャンペーンに加わっていった。

 

テロの捜査に関する報道の遮断は、各国民の情報への権利の侵害だが、それと同時に、ジャーナリズム、及びあらゆる形の検閲を拒否し、報道し・される権利を擁護するというその倫理規範への侮辱でもある。

 

カラカスでの攻撃を非難したラテンアメリカジャーナリスト連盟(FELAP)という高潔な例外を除いて、ジャーナリスト組織は恥ずべき沈黙を守っている。これら組織は企業の検閲を告発する義務がある。ジャーナリストは大学の学生・学者らと共に集会を開き、「報道機関の主」らによる独裁下に置かれたジャーナリズムの悲惨な状況を議論するべきである。この場合の沈黙は、テロリズムへの加担に等しい。この検閲を課しているのは誰か、明らかにされるべきである。

マヌエル・カビエセス・ドノソ

8月8日

 

原文(スペイン語)はこちら

 

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