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ベネズエラのインフレ:自作自演の予言的中?の写真

2016/12/06

ベネズエラのインフレ:自作自演の予言的中?

2016年11月4日 パスクアリーナ・クルシオ
ベネズエラでは、違法な闇レートによって、インフレ率は70%と決められている。ブラックマーケットで為替レートが変動するたびに、イン...

ベネズエラのインフレ:自作自演の予言的中?

2016年11月4日 パスクアリーナ・クルシオ

ベネズエラでは、違法な闇レートによって、インフレ率は70%と決められている。ブラックマーケットで為替レートが変動するたびに、インフレ率も変動する。これは以前より続く、経済の構造的条件に合致した状況である。つまりGDPの35%が輸入され、さらに輸入しているのは、独占企業として振舞うときには輸入品の価格を決定する力を持つ、一握りの企業である。

例えるならこういう状況だ。輸送用自動車のスペアパーツを輸入する会社が、国から優先的な為替レート、つまり1ドル=10ボリバルで外貨を受け取っているとする。にもかかわらず、国際市場でドルで購入したものをボリバルに変換するときに、最も高い為替レート、すなわちこの場合闇レートの、例えば1ドル=1,000ボリバルを使用するといった状況だ。スペアパーツを100ドルで調達したとして、それをベネズエラの国内市場で販売するときに1,000ボリバルではなく10万ボリバルで販売するのと同じことだ。こうして、経済のコスト構造はすべて使用されるレートに従って再調整される。前述したように、これは以前より続く状況である。

しかし2006年以降、ブラックマーケットでの推定為替レートを日々、違法に公表するポータルサイトが幅を利かせ始めた。”La lechuga verde”、”El aguacate verde”から”Dólar Today”、そして最近では”Bolívar Cúcuta”に至るまで、これらウェブページは恣意的で操作された、不均衡な為替レートを掲載している。経済の動向にも外貨準備の水準にも、マネー・サプライとして知られる通貨ボリバルの供給量にも応じていない為替レートである。

2006年以降こういったサイトで公表される為替レートの変動理由とされてきたのは、変わりやすい政治である。ベネズエラで何らかの選挙プロセスの日程が示されただけで、この種の為替レートは急騰し始める。選挙が終わると、変動はまだ収まりはしないものの緩やかとなる。同様の動きが、政治情勢に合わせて観測される。

違法な為替レートはパターンに従って、政治や選挙のサイクルに呼応しているのだ。

次のグラフを見ると、違法な対ドル闇レートの政治的なサイクルがわかる。2012年から変動が激しくなっており、さらに2015年12月の国会議員選挙直前にはさらに大きく動いたことも見て取れる。こういった不相応な上昇は為替市場に影響するだけではない。影響とダメージは、主としてインフレ率に及んでいる。為替レートの操作により、2012年8月から現在までで14,640%と犯罪的に上昇している。

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違法レートの操作は、新しい形の兵器である。インフレ率を急騰させ購買力を削ぐことによって不安を煽り、ベネズエラ国民の投票に関する好みや意向に影響を及ぼそうとするものだ。これは大量の市民を標的にした兵器である。世帯収入を給与に頼るあらゆる家庭、すなわち全ベネズエラ家庭の80%以上に差し響くものである。強力で、非常に効果的な兵器だ。

経済の歪みを通じて民主主義の不安定化を図ることを実の狙いとする、この為替操作という恐ろしい行動は、物価上昇を引き起こすだけではない。生産水準、したがって雇用水準にも影響する。

この為替操作が経済を歪めるメカニズムは、供給ショックとして知られており、次のように起こる。

  1. 違法なマーケットで為替レートを不均衡に操作する。
  2. 輸入を行う大規模な独占企業や寡占企業が、操作され違法にウェブ公開された為替レートを参照して国内価格を決定する。
  3. 経済の中で生産・輸入されるあらゆる財やサービスのコストが上昇する。
  4. コスト上昇に伴い物価が上昇する。つまり誘導されたコスト増による、誘導されたインフレである。
  5. 労働者の実質的な給与が減少する。つまり、家庭の購買力が低下する。
  6. 家庭は家計の見直しを余儀なくされ、優先順位がさほど高くないもの(娯楽、衣服、靴等)から順に、多くの財やサービスの需要を縮小させる。インフレの程度と場合によっては、生活必需品の必要量まで縮小する。
  7. 需要の縮小により中小規模の事業者、特に生活で優先順位があまり高くない財・サービスを提供する事業者が影響を受ける。
  8. これら事業者は従業員者数を減らす必要に迫られ、雇用水準に影響が出る。
  9. 家庭の購買力はさらに低下する。これはインフレ率の誘導された上昇だけでなく、失業にも起因するものである。
  10. 経済に多大な影響を与える悪循環が始まる。違法な為替レートの犯罪的操作により、物価が急騰し、生産が減少し、中小規模事業者の損失、ひいては失業に繋がるサイクルである。


特に今年9月27日から違法レートの犯罪的な急騰が新たに始まることを、私たちはこれまで重大な懸念をもって観察しており、従って警告する。この日に公表されたレートは1ドル=1,052.76ボリバルだったが、今日現在では1ドル=1,385.52ボリバルと、1ヶ月弱で約40%上昇している。ちなみにこの変動については、最近、”Bolívar-Cúcuta”と名づけられた同じく恣意的で操作された為替レートの上昇に暴騰の理由が「かこつけ」られようとしている。

野党勢力は、どうしてもニコラス・マドゥーロ大統領政権から脱したいと表明しており、従って、2017年1月10日までには一度大統領職が完全に空席となり、そうして大統領選挙が実施されることを求めている。このような政治情勢においては、経済を歪めることによって平和と民主主義を不安定化させる行動がより激しくなることには疑いの余地がない。私たちは為替レートの操作と、その結果生じる誘導されたインフレのみのことを言っているのではなく、予め計画された物不足にも言及している。私たちのこれまでの観測によると、この計画的物資不足は水面下で隠然と実行されるだけでなく、全国的なストライキによっても引き起こされることになるだろう。

フェデカマラス(ベネズエラ経団連)の代表らや国会議員を含む野党スポークスマンの幾人かは、先日、今年のインフレ率は500%となり、GDP成長率は-10%となるだろうと表明した。この二つの言明はIMFの発表に基づいたものである。

これに関して、これら二つの「予言」は両立しないと言っておかねばならない。つまり、500%ものインフレは、たった10%のGDPのマイナス成長などでは説明し得ないのだ。これほどの高インフレに対しては、もっと大幅なGDPの減が見込まれるはずだ―ただし近年実際に見られるようにインフレが誘導されたものでない限りは。例えば、2002年と2003年には、石油会社のサボタージュやゼネストへの参加呼びかけによってベネズエラのGDPは2002年に8%、2003年に9%減少した。その頃、ゼネストと10%近くのGDP縮小にもかかわらず、2002年のインフレ率は31.2%、2003年は27.1%であった。ここで言いたいのは、GDPが必ずより大きく減少するということではない。野党が発表するアンバランスなインフレ水準が、彼らが「予言」する為替レートの操作の大きさを物語っているということだ。

インフレを決定する変数をコントロールする人間にとって、「予言」を当てるのは比較的易しい。占いや予知を使っている訳ではなく、古代ギリシャの御神託も必要ない。「予測」を実現すれば済む話であるし、いずれにせよ、仮に「予言」だとしてもその予言は自作自演で的中する。ブラックマーケットの為替レートを操作する者は、統計と計量経済学という道具を使って、誘導しようとするインフレ率をわずかな誤差で予測することができるからだ。

以上のように、インフレ率のコントロールは容易である。そしてその原因が政治的なものである限り、国(政府だけでなく国)の対応もまた、政治的であるべきだ。違法レートの操作という兵器を捨てさせる行動を推し進める必要がある。目下のインフレ率の管理は、生産を増やす方法を対策するだけでは済まない。本稿で述べ示してきたように、最近のインフレの原因は、給与の上昇ではないのと同様に生産活動の不振でもないからだ。物価急騰の最も大きな原因は、為替レートの操作という犯罪行為なのである。

国、つまり政府だけでなく国が、外貨割り当てを受けている大規模な輸入業の独占企業に対してより大きな統制と管理を敷くことが急務である。国民が外貨割り当てに関する情報について、どの企業が割り当てを受け、どのような製品を輸入するのにどれだけ費やしたのか、どのレートで外貨を受け取ったのか、知ることが重要である。輸入事業者に対して、国からどのレートで外貨を受け取ったのかを包装に明記することを課した公正価格法第6条を守らせる必要がある。緊急に独占禁止命令を適用しなければならない。

違法レートに関する悪意ある誤情報は、真に為替市場で起こっていることを見えなくしている。

ベネズエラ国民に対する大規模かつ犯罪的な兵器となる違法為替レートの操作と戦うことは、今日では単なる経済課題ではない。平和と民主主義の安定を確保する手段であり、平等と社会的正義のモデルに向けて歩み続けられるという希望である。これでおわかりいただけない方のために言い換えると、ボリバル主義革命を継続し前進させつづけることを保証するものである。

原題:Inflación en Venezuela: ¿profecía autocumplida?
http://www.15yultimo.com/2016/11/04/inflacion-en-venezuela-profecia-autocumplida/

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